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ヘルシーで、おいしい。フルーツ王国・熊本 のおみやげに、〝ヴィーガンスイーツ〟はいかが?

2024/05/02

ヘルシーで、おいしい。フルーツ王国・熊本 のおみやげに、〝ヴィーガンスイーツ〟はいかが?

Photo/
Uchimura Yuzo
Text/
Taninaka Takashi

ヴィーガンスイーツをご存知でしょうか?
それは、動物性素材を一切使用しないお菓子のこと。
カロリーは控えめで、
卵や乳製品にアレルギーがある方でも
安心して食べられます。
種類が豊富な熊本のフルーツをおみやげにするなら、
ヘルシーなヴィーガンスイーツが編集部のおすすめ。
人気の「ikushiro.」のパティシエ草野育史朗さんと、
草野さんを支える
農家さんのお話をご紹介します。

ストロベリータルト

ストロベリータルト

生ケーキ冷凍便
5種類 2,500円(税込)。
牛乳・卵・バターなどの動物性素材と小麦粉、添加物、白砂糖は不使用。

ピスターシュ・フレーズ

ピスターシュ・フレーズ

ヘーゼル・ショコラ・タルト

ヘーゼル・ショコラ・タルト

蜜いも・みかんケーキ

蜜いも・みかんケーキ

ティラミス

ティラミス

植物性100%の
お菓子づくり。

 「ヴィーガンスイーツに入るのは、植物性の食材のみ。そのためフルーツや野菜の自然な甘味を引き出すようにつくらないといけません」と語る草野さん。さらに、「一般的なスイーツづくりでは、白砂糖を使用します。白砂糖は不純物を除去して砂糖の成分を抽出するため、甘味が強く出ます。しかし、ミネラルやビタミンは失われてしまいます。一方、ヴィーガンスイ―ツでは精製されていない砂糖を使用します。そのため、ミネラルやビタミンを含み、甘さのなかにも多様な味わいがあります。素材にメープルシロップやドライフルーツを用いることで、多層的でやさしい自然の甘味が生まれます」
 そう語る草野さんのご出身は、埼玉県さいたま市。なぜ熊本に移住されたのでしょうか?

草野育史朗

草野育史朗

くさの・いくしろう/1971年、埼玉県生まれ。2011年、熊本県へ移住。現在は実店舗を構えずに卸販売と通信販売で営業。

 「東日本大震災がきっかけです。その前に、私がパティシエをめざした理由と、ヴィーガンスイーツとの出会いについてお話できればと思います。関東のフレンチレストランでスイーツ担当になり、そのおもしろさに夢中になったことが始まりです」。その後も草野さんはスイーツづくりを学ぶため、関東のさまざまなお店で修行します。けれども、朝5時から深夜まで働く日々を続けるうち、体を壊してしまいます。働きかたを変えようと思い、これまでに出会った農家さんを思い出し、農家をめざすそうと思い立ちます。そして、千葉県の「Brown’s Field」を農業研修で訪れた際、ヴィーガンスイーツと出会いました。「動物性素材を一切使用しないスイーツなんて、できるの? そもそもおいしいの?」と疑問を感じた草野さん。しかし、実際に食べてみると、素朴ながらもやさしい甘さに衝撃を受けました。
 やがて1年の農業研修を終えたとき、農家ではなく、やはりパティシエとしてヴィーガンスイーツを手がけられたらと思い直した草野さん。東京都内で手売りで販売をした時期を経て、2010年、奥様の地元である静岡県富士宮市で店舗を構えます。しかし翌年、東日本大震災が起き、被災。原子力発電所の事故による影響を考慮した結果、遠く離れた九州・熊本への移住を決めたのでした。
 「販路もなく、最初はどう売るか手探りの状態でした。実店舗は構えず、マルシェでの販売を始めました。そこで熊本県内でオーガニック食品の販売を行う『有機生活』さんと出会い、販売店舗を提供してもらえることになったのです」。そして程なくして、自身が運営する卸販売の「ikushiro.」を開きました。

焼き菓子アソート缶『ビジュ』970円(税込)。

焼き菓子アソート缶『ビジュ』970円(税込)。

クマモト・カライモ・タルト各種。

クマモト・カライモ・タルト各種。

タルト生地はサクサク食感を出すため、しっかり焼き上げます。

タルト生地はサクサク食感を出すため、しっかり焼き上げます。

「調理器具は、まさにスイーツづくりの相棒です」と草野さん。

「調理器具は、まさにスイーツづくりの相棒です」と草野さん。

熊本の食材を
スイーツで世界に。

 草野さんが熊本に来ていちばん驚いたのは、食材の豊富さでした。特にフルーツや野菜は、収穫量が全国でもトップクラスのものが多く、できるだけ地元の食材を使うよう心がけています。取材した日は、熊本の名産品「からいも」を使ったタルトを開発中でした。「水が豊富できれいだからこそ、どれも非常においしいです。素材のよさを活かしつつ、世界中の人に楽しんでいただけるヴィーガンスイーツをつくりたいです」と語る草野さん。
 また、食材の仕入れ先は、なるべく生育環境や、生産者の人柄を知っているところにしているそうです。「おいしさも大切ですが、同じくらい“安全”も大切です。そのため信頼できる農家さんから、安全でおいしい食材を厳選して仕入れています」。特に草野さんがこだわるのが、いちごです。「香りも、酸味と甘味のバランスもよく、『ikushiro.』のスイーツづくりには欠かせません」。そのおいしさの秘密を知りたいと草野さんに伝えると、仕入先の農園に案内してくれました。

無農薬の
いちごづくり。

 「ikushiro.」で使用するいちごを育てるのは、「農薬ゼロのだいしん農園」。ビニールハウスのなかには、大粒の真っ赤ないちごが実っています。
 「うちの農園では、農薬や化学肥料、家畜肥料を一切使用しません。それらの匂いがつかないため、いちご本来の香りや味を楽しんでいただけます」と語る代表の楠田大伸さん。楠田さんがお父様から農園を引き継いだ際、農薬によって体調を崩したことをきっかけに、無農薬に取り組み始めたそうです。
 「いちごは、多くの害虫が寄るため、農薬を使わないと数はつくれません。また、水が足りないと育たず、水をあげすぎると味が薄くなる、加減の難しい果物です」。無農薬にこだわるだいしん農園の生産量は、毎年500kg前後。「農薬を使い、1反の農地でいちごをつくれば、年に3tは収穫を見込めます。しかし、おいしいものをつくりたいので、それはしません」

1粒1粒大切に育てています。

害虫は手作業で取り除き、
1粒1粒大切に
育てています。

いちごの生育に最適な土・室温・水の量が保たれるよう、工夫や改善を繰り返しています。

いちごの生育に最適な
土・室温・水の量が保たれるよう、
工夫や改善を繰り返しています。

 そんなだいしん農園のいちごは“紅ほっぺ”という品種。「酸味と甘味のバランスがよく、なかまで赤いので、ジャムにも向いています」と楠田さん。食べてみると、酸味が甘味をしっかり引き立て、いくつでも食べられそうなくらいさっぱりした口当たりでした。ジューシーさも感じられます。
 パティシエの草野さんと、生産者の楠田さんのこだわりが組み合わさり、「ikushiro」のヴィーガンスイーツは生まれます。熊本県内にも販売店で買えるほか、通信販売もあるため、熊本旅行から帰ったのち自宅に取り寄せ可能です。ぜひ見た目も美しくおいしいikushiroのヴィーガンスイーツを、おみやげにどうぞ。

(右)農薬ゼロのだいしん農園代表・楠田大伸(くすだだいしん)さん、(左)スタッフ・黒田智子(くろだともこ)さん。

(右)農薬ゼロのだいしん農園代表・楠田大伸(くすだだいしん)さん、
(左)スタッフ・黒田智子(くろだともこ)さん。

column

熊本は
フルーツ王国!?

2022年熊本県フルーツ収穫量
全国ランキング

2022年熊本県フルーツ収穫量全国ランキング

●全国1位 すいか 48,000t
●全国2位 メロン 24,400t
●全国2位 くり 2,280t
●全国3位 極早生みかん 17,800t
●全国3位 いちご 11,700t

※出典:「令和4年産野菜生産出荷統計」および「令和4年産果樹生産出荷統計」
※みかんは、果実数が多くなる年(表年)と少なくなる年(裏年)とが交互に起こる傾向があり、2021年の調査では、熊本県が全国1位でした。

店舗情報

ikushiro.

●WEBサイト/https://www.ikushiro.com/

●販売店、通信販売について/https://www.ikushiro.com/shop

農薬ゼロの
だいしん農園

●所在地/〒861-0112

熊本県熊本市北区植木町田底2251

●電話番号/096-274-6544

●WEBサイト/https://www.daishinnouen.com/

「pomodoro」(ポモドーロ)とは……「pomodoro」(ポモドーロ)とは……

 「熊本がもっとおいしくなる」をコンセプトに、熊本のグルメ情報や文化をお伝えするフリーマガジンです。年3回発行し、熊本市内の交通要所や観光名所等で配布しています。

 pomodoroは、トマトを意味するイタリア語。
 「トマトを始め、イタリア料理の食材と、熊本で採れる食材は共通するものが多い」と語るローマ出身者を始め、外国人スタッフ3名を擁する編集部が取材・執筆・編集しています。

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