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さあ、天草への幸福な列車旅へ。特急「A列車で行こう」

2026/07/08

さあ、天草への幸福な列車旅へ。特急「A列車で行こう」

Photo/
Uchimura Yuzo, Natori Kazuhisa
Text/
Kurata Shuhei

きらめく有明海。
ジャズの名曲。
天草ならではの
お酒とスイーツも。

天草の海は、熊本の夏の観光地として人気。
けれども、熊本市内から車で向かうと、渋滞に遭うことが少なくありません。
そこでおすすめなのが、天草の玄関口の三角(みすみ)と熊本駅をつなぐ
特急「A列車で行こう」です。
ほかにはない、幸せな乗車体験が私たちを待っています。

車内を彩るステンドグラス

車内を彩るステンドグラス。

天草の玄関口の三角と熊本駅をつなぐ

天草の玄関口の三角と熊本駅をつなぐ。

車窓からの
風景とお酒で
夏を満喫。

 出発地である熊本駅のホームでA列車を待っていると、突然ホームのスピーカーからサックスの音色が。流れてきたのは、列車の名前の由来でもあるジャズの定番曲「A列車で行こう」です。これから始まる列車旅への期待感が高まるホームには、日本人だけでなく、アジアからの旅行客も多く見られます。九州旅客鉄道株式会社の広報担当・小玉宗盛さんによると、海外からの利用者は年々増えているそうです。
 走行音とともに、車両が入線しました。SLのような黒をベースとした車体に金のラインが入り、高級感あるたたずまいです。
 デザインのモチーフは、16世紀に天草半島に伝わってきた南蛮文化。木目を基調とした重厚感のあるデザインと、車内を彩るステンドグラスに目を引かれます。
 車両は2両編成。1号車には「A-TRAIN BAR」というバーカウンターがあり、地元のデコポンを使用したハイボールや、季節限定のサイダーを注文できます。列車内のバーという特別感が、旅ならではの喜びを高めます。
 ほかにも、天草の塩を用いた「天草地アイス(塩アイス)」も人気です。バニラの甘さもありながら、塩味が絶妙なバランスで、スプーンを口に運ぶ手が止まりません。

終点の三角(みすみ)駅

終点の三角駅。向かい側には天草へ向かう船。

オリジナルグッズ

車内ではオリジナルグッズが購入可能。

A列車の「A」

A列車の「A」は、天草の頭文字のAでもあります。

御輿来(おこしき)海岸通過時

御輿来(おこしき)海岸通過時は、絶好のシャッターチャンス。

豪華な座席
豪華な座席

豪華な座席は1号車と2号車で異なる意匠。ボックス席もあります。

 降車後、車の運転をする必要があったため、撮影用に購入したハイボールは他の乗客の方にお渡しすることに。近い席に座っていた、海外からお越しの6人家族に、つたない英語で「このお酒をどうぞ」と伝えると、男性が受け取ってくれました。
 しばらく列車が走っていると、車内から「おぉっ」という声が。車窓に目をやると、日に照らされて青々と輝く有明海が広がっていました。海だけでなく、対岸に見える長崎県の島原半島と雲仙、平成新山などが目に映ります。
 途中で停車する網田(おうだ)駅は、現存する県内最古の駅舎です。列車が到着すると地元の方が旗を振って出迎えてくださいました。停車時間が長く設けられており、ホームでの列車との写真撮影や、地元の晩柑(ばんかん)を素材としたジュースの購入ができます。
 列車の席に戻ると、先ほどハイボールを渡した男性が手招きしています。近寄ると、右手にもっていたジュースを渡してくれました。「ノンアルコール!」。ハイボールのお礼に、わざわざ網田駅で売られていたジュースをプレゼントしてくれたのです。お礼は片言でしか伝えることができませんでしたが、その親切心への感謝と、交流できた喜びを感じました。
 やがて列車は海岸線を離れ、山のなかを通り、終点の三角駅に到着します。三角駅で車内を撮影していると、一人の女性が「雑誌の撮影ですか?」と声をかけてくださいました。本誌の説明や雑談をしていると、大阪からお一人でいらっしゃったとのこと。A列車に乗った経緯を聞くと、幼いころから鉄道が好きで、50歳の節目を迎えた今年、訪れたことがない九州をじっくり鉄道で周っているとのことでした。「車窓から見える風景がすばらしくて、いい思い出になりました」。そう話してくれた女性の笑顔が印象に残っています。
 熊本駅から三角駅まで約40分間の旅でしたが、心動かされる風景あり、人とのふれあいあり。あなたにも、乗ってもらいたい。そう感じた乗車体験でした。

天草地アイス

天草地アイス 500円(税込)

ハイボール・Aハイボール(デコポン)

ハイボール・Aハイボール(デコポン) 700円(税込)

Aをモチーフにした特製ロゴ

Aをモチーフにした特製ロゴも見どころの一つ。

1号車にある本格的なバーカウンター

列車旅の喜びを深める、1号車にある本格的なバーカウンター。

「アマテラス珈琲」で
海を一望しながら、
地元グルメを堪能。

三角駅で降りたら寄りたい世界遺産の西港。
三角駅近くに2024年初夏、新しくオープンしたおすすめのカフェを紹介します。

三角ノ瀬戸

有明海と不知火海(しらぬいかい)の中間地点、
通称“三角ノ瀬戸”。

 三角西港は明治時代、九州西海岸における海外向け貨物の一大集散地として栄えていました。往時の海運倉庫を改築して建てられたのが、「アマテラス珈琲」です。
 三角西港に開店した理由は、「歴史ある三角西港の魅力に触れてもらうとともに、山も海もある絶好のロケーションを楽しめる場所を提供したかったから」と店長の原田碧(はらだ・あおい)さんは言います。
 カフェの特徴の一つが、海に臨むテラス席です。海風に吹かれながら、地産品を使用したメニューを食べることができます。人気メニューは、天草大王や宇城(うき)市のトマトピューレを使用した、アマテラスサンドというホットドック。宇城市の生姜シロップを使用したジンジャーエールも好評です。アマテラスサンドは、地鶏のウインナーの歯ごたえに、パンのボリュームもあいまって、満足感のある一品。ホットドッグなので、テイクアウトして三角西港を散策しながら食べるのもおすすめです。
 店名のアマテラスの由来は、きれいな海や空(天=アマ)を含めた三角西港全体を照らす(=テラス)存在でありたい、という願いから。店内には、天草市出身の造形作家gajuさんによる、店名からイメージした星座をモチーフとするオブジェクトが飾られています。
 オープンして以来、地元の人だけでなく、国内外からの観光客がお店を訪れています。天草方面へお越しの際は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

アマテラスサンド/特製ジンジャーエール

アマテラスサンド 800円(税込)
特製ジンジャーエール 600円(税込)

星座がモチーフのオブジェ

星座がモチーフのオブジェが天井を覆います。

原田碧(はらだ・あおい)さん

店長:原田碧(はらだ・あおい)さん。メニュー開発も担当。

column

明治三大築港の
一つと言われた
三角西港。

 三角西港は2015年、「明治日本の産業革命遺産」として、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。明治期に築港された港で、当時の姿を残す唯一の港であることが評価されました。長さ756mに及ぶ石積埠頭(いしづみふとう)や、浮き桟橋(さんばし)などが、当時の技術力の高さをいまに伝えます。
 明治時代の情緒を残す西洋風建造物が現存。漫画『るろうに剣心』の実写映画のロケ地としても使用されました。なかでも浦島屋(うらしまや)は、映画だけでなく、作家・小泉八雲(こいずみ・やくも)の作品「夏の日の夢」の舞台としても登場します。白と淡い水色の外観が目を引く2階テラス席がおすすめです。海を眺めながらくつろげます。

 
浦島屋
浦島屋
浦島屋。小泉八雲や築港当時に関する資料を展示。無料の休憩所として利用できます。

店舗情報

特急「A列車で行こう」

●料金/熊本駅から三角駅まで 2,650円(税込)

※料金は乗車日により異なります。

●運行日/土日祝を中心に運行。

※運行日はWEBサイトを確認

●WEBサイト/特急「A列車で行こう」

アマテラス珈琲

アマテラス珈琲

●所在地/〒869-3207

熊本県宇城市

三角町三角浦1268-1

●電話番号/080-9101-5577

●営業時間/10:00-17:00

●定休日/なし

「pomodoro」(ポモドーロ)とは……「pomodoro」(ポモドーロ)とは……

 「熊本がもっとおいしくなる」をコンセプトに、熊本のグルメ情報や文化をお伝えするフリーマガジンです。年3回発行し、熊本市内の交通要所や観光名所等で配布しています。

 pomodoroは、トマトを意味するイタリア語。
 イタリア料理の食材と、熊本で採れる食材は共通点が多いことから名付けました。

 フリーマガジンとウェブ版である当サイトは、阿蘇の高森町に第二本社を置く出版社コアミックスが発行・運営しています。