あの“西の聖地”の進化が止まらない。
熊本には、サウナファンから“西の聖地”と呼ばれる施設「湯らっくす」があります。
1994年にオープン、2016年の大規模改修を経て、いま、年間36万人の利用者が通います。
「サウナ×エンターテインメント」を掲げる社長の西生吉孝(にしお・よしたか)さんに、ここならではの魅力を聞きました。

モデル
一之瀬緋彗(いちのせ・ひすい)さん
オクロック熊本歌劇団所属。舞台「前田慶次 かぶき旅〜鬼島津の女剣士・夕月〜編」に、兵法者・立花宗茂役で出演。
サウナ、温泉、ホテル。
西の聖地は複合施設。
夜。熊本市内の琴平通りで車を走らせると、明るく照らされた「天然温泉天国」の看板が目に入ってきます。駐車場は車でいっぱい。この施設が「湯らっくす」です。
「湯らっくす」は、温泉はもちろん、レストラン、8,000冊のマンガやマッサージチェアが並ぶリラックススペース、宿泊が可能なドミトリー、完全個室のホテルがあります。そのなかでも全国的に知られるのが、サウナです。
「昨今、サウナが世界的なブームになっています」と語る西生さん。その理由を聞いたところ、「昔はサウナといえば、おじさんが楽しむものというイメージでした。しかし、コロナ禍に行く場所がなくなった10〜30代の若い人が訪れ、サウナの魅力を知ったのです。汗をかいて、水風呂につかりリラックスする。その体験は、なにかと疲弊しがちな現代を生きる人々の気持ちとマッチしたのでは」と語ります。「湯らっくす」では、女性客も昔と比べ増加しているとのことです。
同施設では、浴場内に3種類のサウナを完備。なかでも人気を博しているのが、サウナストーンに水をかけ、発生した蒸気を音楽に合わせてタオルで撹拌するパフォーマンス“アウフグース”です。高温のサウナ室で、熱波を体に浴びることで、体感温度が上がり、短時間で汗が吹き出します。パフォーマンスが行われるサウナ室は、さながらライブ会場のような盛りあがりをみせます。

泥パックは化粧品にも使われるモイストナイトと精製水を入れ、店内で手づくりしたものです。

熱すぎず、過ごしやすい「大噴火瞑想サウナ 大阿蘇」。
サウナ室を蒸気が覆い尽くします。

塩釜から塩を少量取り、体にのせます。
汗をかくことで老廃物がさらに流れ出ます。

浴場内では、3種のサウナ、外気浴などを体験できます。
露天風呂もあります。
熊本地震を機に
リニューアル。
創業者の父の跡を継いだ姉が亡くなったため、2015年、西生さんが社長に就任。最初に感じたのが、施設の古さでした。「創業から20年たっていたので、施設はボロいなと正直感じました。そこで考えたのは、老舗(しにせ)とよばれるお店はどういうものかということです。老舗の意味を調べているうちに、長い歴史のあるお店が先駆的な取り組みをすることではと思い至りました。
うちは歴史はあるから、先駆的なことをしようと思いました。そこで、当時どこのサウナでも禁止事項として書かれていた『水風呂で潜ってはいけません』とか、『子どもはサウナに入ってはいけません』とか、そういった制約的な決まりをなくすことにチャレンジしていったんです」
その矢先。16年に熊本地震が発生し、施設はダメージを受けてしまいます。しかし西生さんは、地震の被害にあったことを機に改装し、よりサウナを充実させた場所に生まれ変わらせようと考えました。そして、同年のリニューアル後、「湯らっくす」の代名詞にもなっている最大水深171センチメートル(男性用)の水風呂や、セルフロウリュができるメディテーションサウナ、そしてアウフグースが新たに開始されます。
現在ではアウフグースマスターと呼ばれるパフォーマーが34名在籍。日に26回のアウフグースが行われます。土日の混み合う時間は、サウナ室に入りきれない人で行列ができるほどの人気です。

新サウナ「THIS IS IT」で15分間のショーアウフグースや、お香を焚くヒーリングプログラム体験。

名物の日本一深い水風呂。
最大水深は男性用171cm、女性用153cm。
劇場型アウフグース場
「THIS IS IT」開設。
23年、新たに開設されたサウナがあります。それが、「THIS IS IT」です。ライティングや音響効果を駆使できるサウナ室で、ここではアウフグースをショーの形式で楽しむことができます。曲調に合わせて繰り広げられる、タオルを用いたパフォーマンスは、より視覚や聴覚で楽しめるものになっています。
このサウナを開設した理由を西生さんは語ります。「いまここは、おかげさまで熊本の観光名所と評価され、旅行者向けのウェブサイトでも人気上位です。期待にたがわぬ場所になるよう、利用者の満足度や独自性を高めるためにつくりました。観賞時は、館内着を着用して男女一緒にパフォーマンスを見ることができます」
この「THIS IS IT」はアウフグース以外に、ヴァイオリンの演奏会場や、熊本のアーティストの芸を披露するステージとしても使われはじめています。「映画を自主制作していた経験があるので、創作や表現をしたい人を応援できればと思うんですよね」と西生さん。“西の聖地”は、サウナのみならず、熊本のエンタメを体験できる場へと進化しています。あなたも、一度いらしてみてください。

レストラン名物の湯らっくす麻婆麺。

2階には女性専用のリラックスルームもあります。
漫画8,000冊や挽きたてコーヒーが無料で楽しめます。

社長 西生吉孝さん
好きな言葉はブルース・リーの“Be water, my friend(友よ、水になれ)”。慣習にとらわれない柔軟な発想で経営。



