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マンガに囲まれて憩う。“隠れ家ミュージアム”へ。

2026/06/25

マンガに囲まれて憩う。“隠れ家ミュージアム”へ。

Photo/
Hara Fumihiro
Text/
Aoki Ayako, Iwai Daiki Miniature/Kenmotsu Kouhei

大人になると、なにかと忙しく、マンガを夢中で読む時間が取りづらくありませんか?
そんな私たちがいま、心ゆくまで作品を楽しめるとしたら、日常を離れた旅先かも。
熊本県合志市に、寄ってほしい場所があります。

展示ブース

定期的に異なる顔を見せる展示ブースも見応えたっぷり。思いがけない、新たな出会いがあるかもしれません。

マンガの楽園、
ここにあり。

 熊本市街と合志を行き来する、熊本電鉄菊池線の御代志駅から歩いて12分ほど。合志市立図書館の裏手に見える、趣のある建物。そこが、あらゆる年代のマンガが集まり、自由に読むことができる施設、合志マンガミュージアムです。
 特徴は、年代順の配架。「熱心にマンガを読んだのは十代、という人が多いので、自分が生まれた年に10を足した年代の棚に行くと、なつかしいと思える作品と再会できます」。そう教えてくれたのは、館長の橋本博さん。館内の一角には、“妖怪忍者コーナー”も。妖怪と忍者という日本の文化を、マンガを通して世界中に発信していきたい。そんな思いで厳選された作品が並べられています。

館長の橋本さん

「熊本出身のマンガ家や編集者は多いです。かつて九州では、書店や貸本屋、古本屋が熊本に集中していましたので、そのことと関係があるかもしれません。マンガ研究者の数は、日本でいちばん多いです」(館長の橋本さん)

 心ひかれたのは、「キューブゾーン」。どこで読もうかな、とウキウキする気持ちが抑えられません。「ここは図書館ではありません。まず椅子や机はなくそう、というのが最初の考えでした。座って読んだり、立ち読みしたり、こっそり隠れて読んだり。できるだけリラックスして、好きな姿勢でマンガを読んでもらいたいです」
 半年にわたる近隣の方々へのヒアリングで得た要望と、ユニークな建築物を熊本に建てるという「アートポリス構想」があいまって、マンガが読みたい来館者にやさしい空間が生まれました。

キューブゾーン

キューブゾーン。押入れのなかで読む感覚を体感できる人気スポット。上に座っても読めます。

 現在、棚から手に取って読めるマンガは、約2万冊。蔵書数は、約6万冊。そのほとんどは、橋本さんのコレクションから寄贈されたものです。
 「中学生の頃、集めていたマンガを母親にすべて捨てられたことがあります。その喪失感から、マンガをあきらめることを母は期待していたのかもしれません。けれども、逆効果でした。かえってマンガへの愛は高まり、徹底的に収集するようになったんです」
 マンガと本への情熱は尽きず、1987年より、30年近く熊本市内で古本屋を営んでいた橋本さん。あまりの本の多さで、店の外にまで本が積まれていたそう。見かねた常連さんから、「本の置き場所に困っているんだったらうちに置きませんか」とのお誘いが。この方が合志市の職員で、のちの副市長でした。合志をマンガやアニメの町にと市長がマニフェストを掲げていたこともあり、2017年7月、合志マンガミュージアムが誕生しました。
 そんな合志の街からも愛される施設をめざして、さまざまなイベントが行われています。マンガ家のトークショーから、妖怪、忍者をマンガに描くワークショップまで。「描く喜びを味わってもらいたいんです。キャラクターを考える楽しみもですね」。さらに、近年はマンガの読みかたがわからない子どももいるそうで、小学校へのマンガ配布にも取り組んでいます。

「妖怪・忍者イラストコンテスト」

館長は忍者研究者、副館長は妖怪研究者。毎年小学生を対象に開催される「妖怪・忍者イラストコンテスト」では、年々応募数もレベルも上昇。

ほっこりアイテム

館内のあちらこちらに
ほっこりアイテム。
思わず心もゆるっといやされます。

立ち読みスポット

立ち読みスポットにも、なんだか安心感。

熊本ゆかりの
作品が充実。

 「マンガを楽しむ」ことを大切にしているミュージアム。展示物も見逃がせません。取材の日には、熊本とゆかりのある作家のマンガや、ゆかりの偉人を描いた伝記などが展示されていました。地域の史実をマンガで学んだり、マンガがどういう変化を遂げてきたかを学ぶ場としても活用されています。いまとなっては入手困難な、ここでしか見ることのできない貴重な雑誌や単行本で彩られた空間は、訪れた人たちの心のアンテナを広げてくれることでしょう。
 入館料は、終日過ごしても300円。懐にやさしいことも、うれしい点です。スタッフによるあたたかい声かけと案内による、心なごむ雰囲気に包まれたこの場所に、あなたも立ち寄ってみませんか?

※くまもとアートポリス……豊かな自然や歴史、風土を生かしながら、後世に残り得る文化的資産としてのすぐれた建造物の創造を理念とした事業。人々の都市文化、建築文化などへの関心を高め、地域の活性化に資する熊本独自の豊かな空間を創造することを目的としています。

column

おいしい
寄り道。

ミュージアムは一度入場すれば、出入り自由。
お昼ごはんや、夕食にもうれしい近隣のおすすめのお店をご紹介。

 
オリオン
オリオン
昔ながらの洋食屋。“がっつり”ならココ!
日替わりランチはお手頃価格でボリュームたっぷり。ジューシーなハンバーグがおすすめ。
●所在地/〒861-1104 熊本県合志市御代志1692-6
●営業時間/10:00-14:00、17:30-20:00
●定休日/月、金曜日
●TEL/096-242-3031

 
天郷食堂
天郷食堂
定食から麺ものまで。地元の人気店。
定食のセットについてくるホルモン煮込みは、ついつい飲みたくなる逸品。
●所在地/〒861-1104 熊本県合志市御代志1739-7
●営業時間/11:00-14:00
●定休日/木、日曜日
●TEL/096-242-0032

店舗情報

合志
マンガ
ミュージアム

合志マンガミュージアム
合志マンガミュージアム
ミュージアムのオリジナルキャラクター、ヨーニンマン。妖怪、忍者、マンガを組み合わせたフォルムがキュート。

●所在地/〒861-1104

熊本県合志市御代志1661-271

●営業時間/10:00-18:00

●定休日/月曜日(祝日の場合は翌平日)、毎月末(土・日・祝を除く)

●TEL/096-273-6766

「pomodoro」(ポモドーロ)とは……「pomodoro」(ポモドーロ)とは……

 「熊本がもっとおいしくなる」をコンセプトに、熊本のグルメ情報や文化をお伝えするフリーマガジンです。年3回発行し、熊本市内の交通要所や観光名所等で配布しています。

 pomodoroは、トマトを意味するイタリア語。
 イタリア料理の食材と、熊本で採れる食材は共通点が多いことから名付けました。

 フリーマガジンとウェブ版である当サイトは、阿蘇の高森町に第二本社を置く出版社コアミックスが発行・運営しています。