県外ではあまり知られていませんが、熊本県の道の駅の数は、36か所あり、九州・沖縄エリアNO.1(九州・沖縄「道の駅」連絡会事務局調べ)。
道の駅戦国時代の熊本にあって、地元の名産を楽しめて、大浴場にも入れて、泊まることもできる道の駅があると聞き、取材しました。
手探りで、手づくりで育てる
新しい道の駅の形。
熊本の大自然をゆっくり堪能したい。そんな方にぜひ利用してほしいのが、「道の駅そよ風パーク」です。なんとここは、泊まれる道の駅なのです。「敷地が広大で、食事や買い物をファミリー層が楽しめる場所があり、サッカーグラウンドなどの設備も整っています。旅先に求める体験がここで完結することが、この道の駅の一番の特徴です」。そう語るのは、同施設のリーダーを務める加藤拓真(かとう・たくま)さん。
自慢はなんといっても、阿蘇五岳〜九重連山〜祖母山を一望できる「ホテルWINDY」。マウンテンビューを売りにしたお部屋もあるほどです。「春は桜、夏は新緑、秋は紅葉。冬はすべてが真っ白な雪景色が広がるので、四季折々の眺めをぜひパノラマで楽しんでいただきたい」と加藤さんは言います。

コテージを完備しており複数人数でキャンプのように楽しむこともできる。

山々を一望できる「ホテルWINDY」の洋室。
ロフト付きで子どもも楽しい。
「そよ風パーク」で味わう食事にも、特徴があります。「レストラン マアム」では“かあちゃんシェフ”と呼ばれる地元の方々の手料理が好評。人気はおいも、大根、こんにゃくなど、地元の野菜を使った煮しめ。手づくりのやさしさがしみ込んだなつかしい味わいに、思わず気持ちがほっこりします。こんな道の駅をいままで知らなかったなんて……、と思って調べると、意外な事実がわかってきました。

そよ風パーク内の「レストラン マアム」。
煮しめ、山菜の天ぷらが人気。

慣れない取材に少し緊張する「レストラン マアム」のかあちゃんシェフ。
そよ風パークはかつて、広場、浴場、森林公園、交流施設、体験農園などが集う、地元の人向けの場所として1996年にオープンしました。やがて2012年、道の駅として登録されると、他地域からの観光客でもにぎわうようになりました。しかし、時代の変化により客足は遠のきます。
「地元に愛された道の駅、山都町の自然、人のよさをもう一度知ってほしい」と立ち上がったのは、福岡から来た当時24歳の若者でした。その若者こそがそよ風パークの新たな指定管理会社になったエネルギープロダクト(東京)に所属する加藤さんです。「何もノウハウがないところからのチャレンジでした」と語る加藤さん。設立当初から、“健康”を意識した取り組みを進めてきました。苗や果樹を植えてフルーツパークの構築を開始。実は山都町は有機農業全国No.1(※)。標高300~900mの冷涼な気候と寒暖の差、そして清らかな水とミネラル豊富な土壌が育てる農産物を、地元の人は“山の都のたからもの”と呼んでいます。「地元のブルーベリーやイチジク、りんごなどの果物をここで栽培しています。現在はブルーベリー狩りが主ですが、今後はさらに多くの果物の収穫体験の機会を提供していく予定です」
※有機JAS(農林水産大臣が定める国家規格)認証事業者数が全国最多

そよ風パーク内の「そよ風物産館」。
山都町の新鮮な農産物が集まる。
これら自慢の農産物は、施設内の「そよ風物産館」で購入できます。ブルーベリージャムや地元の野菜のほか、ワインなどのお酒が人気。加藤さんと地元のスタッフで手探り・手づくりするサービス。健康で豊かな時間を過ごせるのは、こうした“人の手の温もり”が感じられるからだと思いました。
