​池山水源の湧水仕込み。名水を、豆腐でいただく。

2026/07/17

​池山水源の湧水仕込み。名水を、豆腐でいただく。

Photo/
Yamagashira Noriyuki
Text/
Sugaya Ayaka

 写真に写せないほど透明、そんな風に称される阿蘇・産山村(うぶやまむら)の湧水・池山水源から車で5分。志賀食料品店のお豆腐の仕込み場を訪れると、そこにはその名水があふれていました。
 お豆腐の8割以上が水でできています。もしそれが名水だったら? 創業百余年の老舗にうかがいました。

「お豆腐づくりは英子が
向いとるよ」

 池山水源は名水というだけではなく、豆腐づくりに最適と言われる超軟水。豆腐は硬度が高い水で仕込むと、そのミネラルやカルシウムが大豆のたんぱく質と結びつき、硬くなってしまうのです。「水がおいしいところは豆腐もおいしいの。好みにもよると思うけど、私は柔らかい方が好きかな」と店主の志賀英子(しが・えいこ)さん。志賀食料品店のお豆腐は、大釜で炊かれた大豆のスモーキーな風味が特徴。普通のお豆腐よりひと回り大きく、食べると大豆の濃い甘みとコクの深さが口いっぱいに広がり、心地よい香ばしさが鼻を抜けていきます。「大豆は国産のものを普通の倍使っているから、儲けなんてないのよ」と、どこか楽しそうに話してくれました。
 英子さんがお店を継いで40年以上が経ちます。きっかけは「お豆腐づくりは英子が向いとるよ」という曽祖母の遺言でした。「来る人においしいお豆腐を食べてもらいたい」、その思いを英子さんならずっと持ち続けられることを、わかっていたのかもしれません。

沖縄から注文100枚!
人気は全国区の厚揚げ。

厚揚げ

少しお醤油を垂らすだけでもうご馳走。

 インパクトのある分厚い厚揚げがこのお店の人気商品です。全国各地から注文が入り、一日に100枚つくることもあるそう。高温の油と低温の油でじっくり30分揚げていきます。
 「揚げる時間が短いと、冷めたときに縮んでしまう。うちのは肉厚であまり縮まないけど、それでも気を付けたい」とこまめに様子を見て裏返しながら、厚めだったお豆腐がさらに嵩(かさ)を増します。揚げたてをいただくと、お豆腐の深みにザクザクとした食感が加わり、多彩な味の広がりがありました。
 厚揚げの味に感動していると、英子さんが厚揚げの煮しめを台所から持ってきてくれました。しいたけ、じゃがいも、こんにゃく、そして厚揚げ。煮てもなお肉厚な厚揚げを口に入れると、じゅわっと汁があふれてきます。煮汁の風味をすべて吸い込んだ厚揚げは、もとの香ばしさやコクも失わず、煮しめのなかで主役級の存在感を放っていました。
 お店のなかにはイートインスペースもあり、その場でお醤油も貸してくれます。池山水源から車で5分、ほんの少し足を延ばして、名水の恩恵をこれでもかと詰め込んだ贅沢豆腐を、ぜひ食べ逃しなく。

午前2時から6時頃まで動きっぱなし。
午前2時から6時頃まで動きっぱなし。
午前2時から6時頃まで動きっぱなし。

午前2時から6時頃まで、英子さんは動きっぱなし。

暑い仕込み場でもじっくり揚げていく。
暑い仕込み場でもじっくり揚げていく。
暑い仕込み場でもじっくり揚げていく。

暑い仕込み場でもじっくり揚げていく。

店舗情報

池山水源の水汲み場

池山水源の水汲み場

池山水源の水汲み場は、駐車場から近く汲みやすい場所にあるため、県外からも多くの人が訪れます。

●住所/〒869-2704 熊本県産山村田尻14-1

●24時間年中無休

​​志賀食料品店​

​​志賀食料品店​

●住所/〒869-2704 熊本県産山村田尻348-3

●営業時間/6:00~18:00 ※不定休

●電話番号/0967-25-2175

●取扱商品/角豆腐一丁 240円、寄せ豆腐 大320円・中270円・小160円、厚あげ 140円、生あげ 140円、豆乳 150円

「pomodoro」(ポモドーロ)とは……「pomodoro」(ポモドーロ)とは……

 「熊本がもっとおいしくなる」をコンセプトに、熊本のグルメ情報や文化をお伝えするフリーマガジンです。年3回発行し、熊本市内の交通要所や観光名所等で配布しています。

 pomodoroは、トマトを意味するイタリア語。
 イタリア料理の食材と、熊本で採れる食材は共通点が多いことから名付けました。

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