白くふわふわな氷の山脈に、フルーツ蜜、抹茶、甘酒などの色とりどりのシロップが積もるさまはまさに、おいしい絶景。
古くは平安時代、かの『枕草子』に《削り氷に甘葛入れて、あたらしき鋺に入れたる》と記述があります。
この削り氷こそかき氷なのです。
日本有数の水処・熊本だからこそ味わえるかき氷を取材しました。
景色1:いろは
季節を感じるフレッシュカラー。
朝、仕入れ先でフレッシュな果物を店主が見極め、その日中に出すという“旬”にこだわった人気店の「いろは」。その魅力はなんといっても果物蜜。つくり置きはなし、鮮度にとことんこだわっています。
熊本の豊富な地下水でつくられた純氷を薄く削りだし、ふわふわなボール状にしたところでフレッシュ蜜をかけ、自家製のヨーグルトやレアチーズとカットフルーツがのせられ完成します。今回、いただいたのは夏が旬の桃とパッションフルーツ。甘い桃の蜜とフワッととけるかき氷は相性抜群。パッションフルーツの爽やかな甘さも氷の冷たさで引きたてられていました。さらに、かき氷頭部のヨーグルトやレアチーズをからめれば、ほどよい酸味と甘さのハーモニーが口のなかに広がります。そして食べ進めると、かき氷の真ん中に、もう一度フルーツたちがこんにちは。果肉のゴロっと感がお値段以上に嬉しく感じます。
素材は、熊本県産のメロン、すいか、ぶどう、ラズベリーなど地元のものばかり。これからの季節は、栗やイチジク、冬にはイチゴを予定。その月、その日の旬な素材を仕入れているので、いつ行っても違う味を楽しめます。

火の国
パッションレアチーズ
氷、熊本の地下水からつくられた純氷、シロップ、熊本県植木町産の“火の国パッションフルーツ”。山盛りのかき氷とフレッシュ蜜がセット。「パッションフルーツには、皮膚を健康に保つビタミンCや、女性は意識的に摂りたい鉄分が多く含まれています」(栄養学者・友寄博子さん)。

桃
レアチーズ
氷、熊本の地下水からつくられた純氷、シロップ、山梨県産の桃。フレッシュ桃と濃厚レアチーズが口の中でとろけます。「桃には、カリウムとビタミンCが含まれており、夏場のカリウム不足の解消や皮膚の健康によいとされています」(栄養学者・友寄博子さん)。
いろは流
かき氷のつくりかた

1
注文が入ると、
フルーツ蜜をつくる。

2
地下水からつくられた
純氷を少しとかしておく。

3
細かい刃で
削りだす。

4
氷の山のなかに
フレッシュ蜜と果肉、レアチーズを入れる。

5
さらに氷を削り
山をつくったら……。

6
上から蜜をかけ、
レアチーズをのせて完成。
景色2:あまみや
品格のある甘味の濃厚な抹茶のグリーン。
千利休の茶道の伝統を継ぐ裏千家。
その十五代家元の鵬雲斎お好みの抹茶を用いたかき氷を出してくれるのが「あまみや」です。
ゆっくりくつろぐ和の精神にこだわった、メニューと店内をご紹介します。

濃厚抹茶
渋皮栗
氷
氷、熊本の地下水からつくられた純氷、シロップ、星野製茶園の抹茶「弥名の白」。「和」の旨みが凝縮された『濃厚抹茶渋皮栗氷』。きび糖でふっくら焚き上げたあずき、熊本産の渋皮栗の甘さが抹茶と相性抜群。
茶道の先生を務めていたという社長の三原明子さんが、熊本市内に構えた甘味処が「あまみや」。阿蘇の地下水でつくる「あまみや」の抹茶かき氷は、他のそれとはひと味違います。
使う抹茶は、九州は福岡・星野製茶園の「弥名の白」。家元お気に入りの本格抹茶です。トッピングには、北海道産大納言あずき、熊本県産の渋皮栗、小川町の白玉と和のオンパレード。抹茶ゼリーもあります。ここに別点(べつだ)ての追い抹茶をかけると、品格あるかき氷の出来あがり。
ひと口食べると、ふわ~と抜けていく圧倒的抹茶の風味。あとからあずきのふっくらとした甘みがやってきます。白玉や抹茶ゼリーがあるので食感もさまざま楽しめます。
そして、とけて水になったあとが、このかき氷の真骨頂。「弥名の白」の抹茶を使っているので、氷がとけてしまっても抹茶を嗜む感覚で最後までおいしくいただけました。なんとも雅な気分になれるかき氷です!

抹茶は別点てしてくれる本格仕様。これだけでもおいしい!!
景色3:マルカメ
老舗がつくり出す透き通ったブラウン。
阿蘇の山々に源を発する地下水を使用し、代々発酵技術を守ってきた丸亀醤油。
創業150周年を機に新たな事業としてかき氷をスタートさせました。
老舗だからできる味、発酵の技術と思いを聞きました。

みそ
キャラメル
ナッツ
氷、日田天領水の純氷、シロップ、自家製の甘酒、山鹿味噌。キャラメル、ナッツに甘酒とみそ。和洋が融合した一品。かき氷の下には自家製の甘酒プリンが隠れている、うれしくておいしいスイーツです。
老舗の醤油屋さんのかき氷ときいて、どんな味だろうとワクワクして向かった先は熊本県山鹿市。山鹿灯篭まつりや芝居小屋の八千代座があり、観光地としても有名です。
そんな山鹿市で醤油をつくり続けて150年を迎えた老舗が丸亀醤油。阿蘇の地下水で丁寧につくられる醤油は、地元の人に愛されています。「丸亀醤油の理念は世の中に必要とされる企業になるということです」と語る社長の佐藤啓造さん。家庭での醤油の消費量が減っているいま、新機軸を打ち出す必要を佐藤さんは感じていました。そこで、発酵にはこだわりつつ、夏場の閑散期に新しい取り組みとして始めたのがかき氷でした。
さっそくお店自慢の発酵食品を使った「しょうゆ黒蜜きな粉」と「みそキャラメルナッツ」をいただきました。「しょうゆ黒蜜きな粉」のほうは、自家製の甘酒シロップによってほのかな甘みが楽しめ、しょうゆの塩気とコクが味を深めてくれます。トッピングに乗っているお団子がみたらし風なのでふたつのデザートを楽しんでいる感覚になりました。お店で一番人気の「みそキャラメルナッツ」は、みそなのに洋風のスイーツのような味わいで驚きです。キャラメルの濃厚な甘さに対し山鹿味噌の塩加減がちょうどマッチして、くどさのない絶妙なおいしさへと昇華されていました。甘い物好きにはたまりません。
かき氷を食べ終わる直前に顔を出す甘酒プリンの味わいは感動の一言です。最後の最後まで食べがいのあるかき氷でした。

しょうゆ黒蜜きな粉のかき氷。

創業当初から一軒一軒お客様のお宅へ商品を配達しているという丸亀醤油。店内にはカフェスペースもあります。

丸亀醤油の近くには、日本の名水百選の一つ菊池渓谷があります。



