馬肉のプロによる
無添加創作料理。
ここでは2通り、
馬肉を楽しめます。
阿蘇くまもと空港から、大津方面へ5分ほど車を走らせると、鮮度に定評のある馬肉専門の老舗「菊陽食肉センター」があります。
2018年、同店はレストラン「饗応はしもと」をオープン。そこで無添加創作料理を食べ、専門店だから手に入る希少でおいしい馬刺しをおみやげにする。
熊本名物の馬肉は、そんな楽しみかたがおすすめです。
TSMC進出で
注目の菊陽町の名店。

「うちは馬肉専門店。仕入れ、製造、販売まで一貫して行います。そんな“馬肉のプロ”としておいしい馬肉料理を提供できたらと、5年前に直営レストランをオープンしました」。そう語るのは「饗応はしもと」店長の牛島勝彦さん。徒歩1分の場所でおみやげを販売する「菊陽食肉センター」と往来しながら、店をきりもりしています。
「新鮮で質のいい馬刺しは、塩だけで食べるのがおすすめです」。その言葉通り、塩を添えて出してもらった馬刺しは、鮮度そのままにすっと体に溶け込む、心地よいものでした。以前、馬肉の解体も同店で行っていた頃、夜通しの作業の合間に、馬肉に塩をふって食事にしていたそう。そのおいしさをお客様にもと提供しています。

「特選馬刺1番」5,500円(税込)。
「饗応はしもと」店長の牛島勝彦さんによると、
「馬一頭から100kgの肉が取れるうち、2kg取れるかどうか」という希少さ。
同店では塩でいただきます。
「饗応はしもと」のメニューを眺め、目を見張ったのはその価格。たとえば、人気の「馬あぶり重コース」は、なんと2,500円(税込)。メインのお重のみならず、小鉢やお吸い物や茶碗蒸しにも馬肉を使用。デザートもついてこの値段です。
「馬を“1頭分買い”することで仕入れ値を下げ、この価格で料理を提供しています。以前は1頭買いしていましたが、それだと部位により質が異なります。そのため複数の馬から、部位ごとに脂・色・霜降り具合を見極めて選び、1頭分にしています。専門店だからできる仕入れを通して、価格面でもおもてなしができれば」

ランチタイムでいちばんの人気は「馬あぶり重コース」。
三種の小鉢(馬の肺の佃煮、ホルモンの湯引きわさび和え、馬のミンチ入りだし巻き卵)、サラダ、馬肉入り茶碗蒸し、馬あぶり重(イチボの肉を使用)、馬さがりのすまし汁にデザートが付いて2,500円(税込)と、驚きのお値打ち価格。
馬肉の食文化を無添加調理で伝える。
それが「饗応はしもと」の志です。
前述の「あぶり重コース」は、ランチタイム限定。ほかにも、馬かつ煮、馬雑炊、馬肉と菊陽野菜の香味ダレ炒めなど、手の込んだ馬肉づくしのコースが全4種用意されています。ランチの充実は、この場所に開店した理由でもあります。
「熊本らしい馬肉料理を、昼に味わえるお店が空港の近くにあればうれしい。そんな声を『菊陽食肉センター』でよく耳にしていました。それを受けて、馬肉のプロである私たちの手で、観光でいらした方々に熊本の食文化を伝える料理を提供できたらと、直営レストランの出店に至りました」
馬肉の食文化発信とともに、牛島さんが力を入れるのが無添加調理です。自身も厨房に立ち、そのための手間や時間は惜しみません。
「私にも子どもがおり、無添加を通して味覚を守り育てることは、人一倍意識しています。うちの料理を食べにきたご家族から、『子どもがここの馬肉ハンバーグなら食べるんです』と言われたことがありました。うれしいですね。
馬肉は鉄分やたんぱく質を豊富に摂れる食材ですし、その食文化や無添加調理の普及につながるので、レシピは公開して家でもつくってもらえるようにしています」
いま「饗応はしもと」のある菊陽町は、台湾の大手半導体メーカー、TSMC(台湾積体電路製造)の工場が2月に開所したことに伴い、活況を呈しています。
「TSMCの進出やコロナ禍の落ち着きに伴い、うちも海外からお越しになる方が増えています。でも、メニューは変えません。その国やその土地らしいものに触れたいのではと思うので、うちは馬肉料理のみを提供します」
店名に掲げられた“饗応”は、お酒や料理によるおもてなしのこと。あなたにも、触れてもらいたい「饗応はしもと」のおもてなし。熊本観光の帰り道に、いかがでしょうか?

牛島勝彦(うしじま・かつひこ)
福岡県生まれ。栄養士。
東日本大震災を機に、東京から妻の故郷・熊本県菊陽町へ移住。
馬肉専門店「菊陽食肉センター」で仕入れや加工を学び、馬肉のプロとしての研鑽を積む。
レストラン「饗応はしもと」の店主を務めるとともに、無添加調理普及のため、カフェやキッチンカーでの調理・販売を夫婦で行う。


